Dove | 愛するものについて考えれば、自分が何者であるかがわかる

「愛は感情を見えなくする事も、見えるようにする事もできます。自分自身を見つめることも、愛を通して出来るのかなと思います」
chorareii dove atarashi karada kinuko numano comez and goes 1
Doveのポートレートは Kinuko Numano(@damb.kiki)。
スタイリング。Comez and Goes(@comez.and.goes.
ヘアエクステンション。Imiatc(@imiatc
ヘアアレンジ。Volvo de Mio(@volvo_de_mio)。

Dove (@d_o_v__e) は、周囲の環境と自身の感情に対するほろ苦い感性を音楽で表現しています。その中で、愛は最も強力な生命力であり、創造的な衝動であるが、それをどのように拡大し、どのように導くかを知ることが必要である。

Doveの最新EP『Atarashi Karada』は、愛の音楽であると同時に、(自己)理解の音楽でもある。この作品は、アーティストが意識的に異なる感覚を身につけたターニングポイントである。

Chorareii: まず、自己紹介をお願いします

Dove: こんにちは、Dove (@d_o_v__e)です。出身は兵庫県で今は大阪の海沿いに住んでいます。趣味は音楽と園芸と料理で、現在はゆっくりとした毎日を過ごしています。ちなみに音楽を始めてから4年ほど経ちました。

最新EP『Atarashi Karada』について、「昔のDoveと新しいDoveの境界線」とおっしゃっていました。今までのDoveとその音楽、これからのDoveとその音楽はどのようなものでしょうか?

これまでのDoveは、すごくパーソナルな内容が多く、自分の頭の中では消化できない感情の消化方法として音楽をやっていた部分があります。パーソナル過ぎて、曲を聞くと本当に脆くて危なっかしいなと感じる事が多いです。

chorareii dove atarashi karada kinuko numano comez and goes 1

今回のEPがリリースされる2年前〜された現在の間で、自分がかなり変わったというか。人との向き合い方を考え、自分の感情を認めてあげたり優先してあげたり。これまで蔑ろにしてがんじがらめだった自分に目を向けられるようになりました。そんな2年の間に生まれたEPがAtarashi Karadaです。

自分の感情に目を向ける事で逆に余裕が生まれたからこそ、対象を人だけに置かずに作る事ができました。これからのDoveを「こういう風になっていきます!」とは言えないのですが、何となく境界線のような気がしてます。

今回のEPの大きなテーマは、ラブストーリーです。愛は、おそらく最も多くの曲や物語にインスピレーションを与えてきた感情です。そこで知りたいのですが、ダヴにとって愛とは何なのでしょうか?

私にとって愛とは広くて多くて限定できませんが、ずっと隣にいるものです。その沢山の愛の中には優しさもあれば、苦しさが同居しているものもあります。愛は感情を見えなくする事も、見えるようにする事もできます。自分自身を見つめることも、愛を通して出来るのかなと思います。

もしその内一つの愛とどう向き合っていくかを悩んで手放した時、愛していたという真実は消さずに認めて、大切に仕舞っておいて良いよと私は自分自身に言い聞かせています。それくらい自分が向けた一つ一つの愛は尊いものだから。

chorareii dove atarashi karada album cover emilie palmelund
Emilie Palmelund(@mooncry1_)の「Atarashi Karada」ジャケット。

このEPについてあなたが語ったアイデアのひとつに、愛は人だけではなく、物や場所にも向けられるというものがあります。この考え方は、日本の神道の教えである「神は身の回りのすべてのものに宿る」ということを思い起こさせました。あなたがアルバムで表現しているような愛を、日本の人々は感じているのでしょうか?

どうでしょうか。分からないですけど、日常や感情に揉まれていると中々感じづらいかも知れません。

ただ、歩いててふと立ち止まった時に感じる風が気持ちいい事だったり、自分の部屋で寝転がって、秒針の音を感じたり、友達の家の窓から景色を見たりする事で感じるものと近いのかも知れません。

私たちを取り囲むものを崇拝したり、愛情を感じたりすることは、どんな良いことがあるのでしょうか?また、ネガティブな面もあるのでしょうか?

自分をもっと知れるという部分が本当に大きいと思います。意外と自分でも自分の愛情深さや優しさや意欲を知らなかったりします。そういう自分でも知らなかった私に触れることはすごく貴重だなと思います。

その反面、苦しさ、欲深さに呑み込まれそうになる事もある。どんな事でも綺麗事じゃ落としきれない焦げみたいなものがあって。でもそれと向き合ったり感じる事でまた人は強くなったり優しくなったりするのかなと思います。

Doveプロジェクトの初期から牽引してきたLe Makeupがこのアルバムでもコラボレーションしています。彼との仕事はどのようなもので、彼がDoveにもたらすものは何でしょうか?

彼が私の曲をブラッシュアップし、私もそこからブラッシュアップする事で、それはより理想に近いものになります。彼が作った曲を私が再構築する事で新たに生まれるものもあります。私にとって彼の存在は何よりも心強く、とても刺激的で安定感があります。

彼はもう一人のDoveと言ってもおかしくないので、彼がDoveにもたらしているものは彼の存在すべてです。

chorareii dove atarashi karada kinuko numano comez and goes

Lootaとのコラボレーション「Figues」はどのようにして生まれたのでしょうか?一緒に仕事をするのはどのような感じでしたか?

Lootaくんが大阪に来たタイミングで、Le makeupに大まかなトラックを作ってもらいながら、曲のイメージをLootaくんと二人で話し合いました。イメージは湖の水面、そこを飛ぶ渡り鳥という感じで対象は人ではなく景色へ。ある程度の形がその1日でできたので、持ち帰ってそこから一週間ほどで曲が完成しました。

Lootaくんはとにかく引き出しが多くて、リリックとメロディーが浮かぶのが早くて、すごい刺激をもらえます。そしてすごく謙虚で優しくて、良い感じですと褒めてくれるので頑張れます。

アルバムのビジュアル部分には多くの女性アーティストが参加しています。Emilie Palmelundがジャケットを作成し、アルバムリリース用の写真はKinuko Numanoが担当し、あなたの服やスタイリングはComez and Goesが担当しました。これらのアーティストからどのような影響を受けていますか?

同じ時代に生まれ、それぞれに違う表現方法で作品を生み出しています。音楽をやっていて良かったと思えるのはこういう風に他の表現方法であるアーティストと交われる機会が圧倒的に多いという事です。

それぞれから表現の自由さ、自分の作りたいものを生み出す事の美しさを感じ、影響を受けていてKinukoやComez and GoesのmiyuにはこのEPができる前に声をかけていて、私の生み出したいものの表現の中に必ず必要だと思っていました。

Emilieには、私のイメージは伝えずに今回のEPを聞いてもらって何作品も書き下ろしてもらいました。Emilieの作品は無機質ですが、その鉛筆の線はEmilieしか描けない柔らかさと暖かさがあり、ジャケットが出来たときは痒いところに手が届いたという気持ちでした。

chorareii dove atarashi karada kinuko numano comez and goes

これまでは、Le Makeupと作ったレーベルPure Voyageからリリースしていましたね。しかし、この最後のEPは、Why BeとJanus Yegorka (@yegorka.de) によるベルリンのレーベルからリリースされています。このレーベルとのつながりはどのようにして生まれたのでしょうか?また、現在Pure Voyageで取り組んでいるプロジェクトは何ですか?

Toxeが YEAR0001のプレイリストにDoveのLiesを入れてくれたり、Mechatokから話を聞いていたりと他にも共通の知り合いを経て、音楽を聴いてくれてWhy Beが声をかけてくれました。Yegorkaからリリースする事はひとつの目標だったので色々な機会に感謝しています。

Pure Voyage自体特に何も決まってませんが次のDoveのリリースはPure Voyageからリリースしようかなと思っています。

今取り組んでいること、新しいアルバム、新しいMVなど、教えてください。 

今はファーストアルバムを制作しています。色々な人と曲を作っていたり、作る予定で、自分でも色々新しく取り組んでいるので楽しみにしてもらえると嬉しいです。

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