Chorareiiの「DJ ID」シリーズは、日本のクラビング&レイビング界で活躍するベテランと若手のDJが、自身の情報を共有し、バンガーの背後にあるヴィジョンを知るためのものである。
Chorareii: まずは自己紹介 !
バイレファンキかけ子: バイレファンキかけ子、DJののの (@satononono)という名前でDJとプロデュースをしています。ラップやバンドをしていた時期もあり、14年ぐらい音楽活動をしています。栃木県出身で現在は東京に住んでいます。
芸名が2つありますが、「バイレファンキかけ子」と「DJののの」の違いは何でしょうか?
のののは私の元々のDJネームでもあり呼び名でもあります。この名義の時はいろいろなジャンルの曲をミックスしたDJをしていました。曲を作り始めたのは2014年ぐらいですが、作る曲もバイレファンキ以外にクドゥロだったりメロコアだったりと様々でした。
バイレファンキかけ子は2019年に誕生したバイレファンキにフォーカスした活動をするときの名義です。最近はこちらがメインとなってます。
DJをするときはどんな音楽を演奏するの?
レイブやトランスの要素が加わったバイレファンキや、いろいろな年代のバイレファンキが中心です。バイレファンキ以外でもブラジルのプロデューサーの曲が多いです。そこに南米のクラブミュージックや日本語のラップの曲、ナードコアなど色々な曲をミックスしています。
ブラジルのファンクミュージックとの出会いはどのようなものでしたか?行ったことはありますか?
15年ぐらい前にBonde Do Roleのアルバム「With Lasers」をTSUTAYAの視聴機で聴いたのが最初の出会いだと思います。その頃はダンスホールレゲエやOZOMATLIなど生音の要素があるダンスミュージックが好きで聴いていました。バイレファンキを聴いて、自分が求めてい想像上の音楽が実在した!と思ってびっくりしました。
ブラジルには残念ながらまだ行ったことがないのですが、今ブラジル行きの資金を貯めているので近いうちに行きたいと思っています。
日本ではファンクミュージックは有名でしょうか、またそのような音楽を作る日本人アーティストやプレイするDJはいますか?
ファンキは有名ではないと思いますが好きな人は増えていると思います。
島根に住む2danimeghettoさんがかなり面白いバイレファンキを作っています!Montagemというスタイルで、サンプラーで生演奏を行っているそうです。
ほかにもhirihiriさんがハイパーポップと融合したバイレファンキなどを作っていて、ブラジルの方との話題に上がったりします。
また坂田律子さんは幅広い音楽をプレイするDJですが、すごく面白いdembowやバイレファンキもプレイします。pìccoloさんはバイレファンキオンリーのDJをしたり、Pharakami Sandersさんも90年代のバイレファンキのセットでDJします。他にもOKADADAさん、WRACKさん、T5UMUT5UMUさん、MOROさん、Hiro “BINGO” Watanabeさんなどそれぞれのスタイルにバイレファンキを組み込む素晴らしいDJがたくさんいます。
DJをよくする会場はどこ?
呼んでもらえればどこでも!いろいろな会場でDJしてますが長く付き合いがあるのは新宿ドゥースラーで、今自分のイベントを企画しているのはフォレストリミットです。
DJを始めたきっかけを教えて!
高校の時、クラブやライブハウスに行くようになり、レコードを集めるようになりました。DJもやりたいと思いつつモラトリアムみたいな時期を長く過ごしたのですが、ついにターンテーブルを触る機会が訪れると一瞬で夢中になりものすごい速さでDJになっていました。
田島ハルコさんとはEP「時給5000兆円」をリリースされていますね。以前にもご一緒したことがありますね。この縁はどのように生まれたのでしょうか?EPについて教えてください。
田島さんとは私がバンドで出たライブハウスで対バンしたのがきっかけで知り合い、自分のイベントに何度か出てもらったり田島さんも呼んでくれたりするようになって、2019年の冬頃からはライブのバックDJをするようになりました。
バックDJになってすぐに渋谷WWWで田島ハルコのワンマンという重大なライブがあって、スタジオで手から血が出るまでフェーダーを切る練習をしたりしてました笑 田島さん一人のライブもすごく好きだったし、最初は私が田島さんの世界を邪魔してないかな?と気になってた時期もあったんですが、今は田島さんも私のDJに登場してくれる時があったり一緒にバトルに出たり、いい意味で乱雑な感じになってかなり楽しく活動しています。
それで制作でも自分のEP、TóquioBugにも「KittySandal」という曲で参加してもらったり、ゆっきゅんさんとコラボした「KINGDIVA」という曲のトラックを作らせてもらったりと一緒に曲を作る機会もできるようになりました。
最新のEP「時給5000兆円」はバイレファンキの曲も入っていますがハードテクノやハイパーポップ、ブレイクコア、レゲトン、トランスなど色んな要素がミックスされていてかなり面白いEPになっています。もちろん歌詞もすごくて、特に「時給5000兆円」はぜひ歌詞を読みながら聴いてほしいです。 「FAAAAAAAASTEST」と「タジハルサンバ」は5月に開催されたAVYSS Cupの速さ/早さのサウンドクラッシュでバトルのために作った曲で、「新・未来世紀ギャルニアⅡ (RAVE×Funk mandelão Remix) 」もAVYSSのイベントで自分のDJ中に田島さんに参加してもらおうとなった時突発的に作ったもので、現場感のある曲が多いと思います。あと、すごく速い!
ブラジルのシーンでは、ミックスやストリーミングパーティーに出演していますね。このつながりについて教えてください。
ブラジルはインターネットで音楽を聴く人口がすごく多いらしく、ファンキのYoutubeチャンネル「Kondzilla」は登録者数が6570万人もいます。それとは別にSoundCloudでファンキのプロデューサーが曲を発表することも活発で、こちらは色々なジャンルを組み込んでいたり、すごく面白くて実験的な曲が多いです。私がバイレファンキかけ子を始めたのも、SoundCloudでリリースされているバイレファンキがすごく進化したものだと感じ魅了されたことがきっかけでした。なのでバイレファンキかけ子になってからはまず、SoundCloudにバイレファンキのリミックスをあげる活動を始めました。
その後2020年にEPを出したあたりで少しずつブラジルのアーティストが聴いてくれるようになって、連絡をもらえるようになりました。ミックスやストリーミングパーティーの出演もすべて私のサウンドクラウドを聴いてくれた人たちからの依頼です。物理的には遠いのですが、SoundCloudの中ではブラジルの人たちと近くにいると感じています。
DJをしているときはどう思う?そして、あなたはお客さんに何を感じてもらいたい?
まずDJをする前にお客さんを楽しませている自分をイメージします。アスリートのようですが…私はネガティブな気持ちでDJをするとかなり選曲に影響が出てしまう人間なので良いイメージをしないとだめなんです。
DJ中はかなりお客さんを見ています。なるべく暴走しすぎないよう、ゆっくりみんなを引っ張っていくようなイメージでプレイしています。
お客さんを知らない境地へ連れていきたいという思いがありますが、まだまだできていません。修行中です!
日本のダンスフロアとブラジルのダンスフロアはどう違うのでしょうか?
こればかりは自分がブラジルに行ってみないと語れないので、行ってから語ります!
ブラジルのパーティーの様子をSNSとかで見ているとファンキがいっぱいかかってていてうらやましいです。あたりまえだけど。
過去にTóquioBugという名義でEPとコンピレーションという2つのプロジェクトを立ち上げていますね。どちらもシーンのアーティストが多数参加しています。これらのプロジェクトについて教えてください。
TóquioBugはブラジルから遠く離れた東京でバグのように生まれたファンキ達という意味があります。ブラジルの音楽と同じものを作ってもブラジルの人たちにとっては意味がないのではないかという思いがあり、EPではバイレファンキのトラックに日本語のラップをのせたいと考えました。お願いしたラッパーたちはバイレファンキのMCではありませんが、声やフローなどにそれぞれバイレファンキを感じる要素があると思った人たちで、全曲すごく素晴らしいです。
コンピレーションは、日本のプロデューサーによるファンキをブラジルや世界のファンキ好きに紹介したい、という目的から企画しました。人選をした時点で決してありきたりなものにはならないと思っていましたが、想像以上にそれぞれのバイレファンキがあって全く違うすごく面白い8曲になりました。
あなたの性格をどのように説明し、それがあなたのプレイにどのように反映されていると思う?
お酒を飲まないとあまりしゃべれないし、あせって思ってもいないこと言ってしまい後で思い悩んだりすることもよくあるので、明るい性格とは言えないかもです。
また常に自分を疑っているところがあるので、逆に音楽においてだけは、できるだけ自分を信じることにしています。特に自分が良いと思った曲はすごく信じてかけています。
DJとしてのあなたの違いは何だと思う?
私は元々、自分が好きな音楽に偏りがありすぎると感じていて、もっと幅広く色々な音楽の良さを表現できるDJにならないとダメだと思っていたんですが最近は吹っ切れて、その幅の狭さを磨いていこうと思うようになりました。これからもどんどん自分の好きな音を探求していくことで、違いを生み出していこうと思います。
ブラジルのコレクティブQUANは、日本でもKato MassacreやEtherなどのパーティに参加していますね。あなたも時々一緒に演奏していますね。その経験はどのようなものだったのですか?
私がEPを出したとき、まだSoundCloudのフォロワーは300人程度でブラジルからフォローしてくれる人もほとんどいませんでした。そんな中で初めて連絡をくれたのがXIAO QUANでした。なので彼は特別な存在でブラジルに行ったら絶対に会いたいし、一緒にDJしたいです!彼のパーティーに参加したときは配信のトラブルで大変な時間もあったのですが、初めて同じ時間にブラジルの人たちと同じ環境で同じ音楽を聴いているというのがすごくうれしかったです。泣いていました。
音楽以外に好きなことは何かある?クラブにいないときはどうしてるの?
家ではマイクラと漫画を読むことが好きで、散歩もよくしてます。あと最近は友人と宝塚の観劇をしたりDVDを観ることをしています。
卒業してしまった望海風斗さんという俳優がすごく好きで、彼女の最後の舞台『fff -フォルティッシッシモ-』という作品が一番のお気に入りです。皆に観てほしい!
できれば、毎回のプレイで再生したい特定の曲はありますか?
FKOFF1963の曲のすべてです
どのパーティー、場所、フェスティバル、レイブ、会場で… DJとしてプレイしたいですか?
最近はブラジルのTAUMKAOSAQUIというパーティーがすごく気になってます!日本だと京都のWEST HARLEMと愛知のひかりのラウンジでDJしてみたいです。
私たちの世代におけるDJの役割についてのあなたのビジョンは何ですか?
バイレファンキかけ子になった当初は、ブラジルのアーティストへ猛烈な片思いの気持ちで、一方的に彼らの音楽を見たり聴いたりしていました。しかし最近では、少しずつブラジルの人たちにも存在を知ってもらえるようになりました。そこで今度は自分の周りのアーティストやイベントのこともブラジルの人たちに見てほしいなという気持ちが湧いてきました。
住んでいる場所に関係なく、好きな音楽を共にする人たちがもっともっと出会えるようになってほしいです。その方が音楽が豊かになると思うから。そんな出会いを加速させるような動きをしていきたいです。
あとはローカルな現場がもっと、誰にとっても安心だと感じられる場所にしていきたいです。
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