GILLOCHINDOX ☆ GILLOCHINDAE|メガロポリス東京に佇む侘び寂びの美しさを見いだすアーティスト

彼の作品や主催するプロジェクト「獸」では、自然と都市、有機的なものと技術的なもの、伝統的なものと現代的なものなど相反する概念が絶妙なバランスで表現されている。
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「௵[(вlΔ ©︎61)獣®︎ணπ]ΘFFᎥဧΞ街↑912133群=FΞးဝံ့း᱗ᱡΠ》ஃ────ᏣцΠစௐ」GILLOCHINDOX ☆ GILLOCHINDAE (@gillochindox_gillochindae)によるインスタレーション。写真 武久直樹. 写真 竹久 直樹 (@takehisanaoki).

GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE(@gillochindox_gillochindae)は、その作品の本質や美学において、現代の東京という都市と深く結びついているアーティストである。しかし、一方でその作品は、不完全ではかない「未完の美」を求めた古来からの伝統的な日本人的自然観や世界観である「侘び寂び」の精神にインスパイアを受けている。

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GCD☆GCDは、都市の景観を生命体として捉え、その根源やどのように都市が成長し、どのように崩壊するのか、またそこに生息する生物がどのように振舞うのかを着目している。彼のインスタレーションや、コンセプチュアルな作品、ビジュアルワークの中には、荒々しくも生っぽい素材が用いられることがあるが、一方で、デジタルの世界やテクノロジー製品などに通ずる精密さも見受けられる。また、彼の作品からはプログラミングやロボット工学への愛情も感じられる。

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彼の最も野心的なプロジェクトである「獸」(@jyu_raf_arch._)は、7年間にわたって一連の展覧会とライブイベントを組み合わせたものが毎年開催される。彼自身が脚本した、東京の若者を象徴とした黒い獣が主人公であるシナリオをもとに展開されいく。

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GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEによる「獸」アートプロジェクトは、東京の青年の物語を描いています。第0章では、黒い獣が狩人に狙撃される。その第1回目の展覧会のために作られた箱です。デザインは 八木 幤二郎(@heijiroyagi)。弾丸 は髙橋銑(@sen_takahashi)。

Chorareii: まずはあなたのアートについてお聞きしましょう。あなたの作品を初めて見たとき、私は産業的、機械的なインスピレーションを受けていると感じました。でもどういうわけか、テクノロジーが生み出す侘び寂びのような精神も同時に感じました?!

GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE: そうですね。私は東京で生まれ育っているので、現代の東京の都市からインスピレーションを受けています。高層ビル、その間を駆け抜ける複雑な高速道路や鉄道網、そこで生きる青年とか。あと、あなたに侘び寂びを感じさせたのは私が日本の古い芸術が好きなことが関係しているからかな。一応日本画専攻出身ですし、運慶の仏像や江戸時代以前の日本の絵画とか好きですね。ダイナミックだけど静かな感じでザラザラとした質感があるよね。

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これに関連して、あなたの作品は有機的な側面を持っていますが、あなたの芸術的性格は何かロボット的なものを持っていると思います!すべてが形と機能で非常に調整されています。あなたの名前はロボット動物(a robotic animal)のようにも思えます。 「STATEMENT STONE PLATE」では、コード化された言語であるかのように特殊文字を使用していますね。 Instagramのプロフィールでも、ロボットの画像を使用しています。 ロボット工学の世界はあなたの芸術にどんな影響を与えますか? 

a robotic animalっていい表現ですね。ロボットって機械と動物の間だと思ってて、私の名前もギロチンと動物感が同居しているところが気に入っています。「STATEMENT STONE PLATE」や作品タイトルはプログラミングコードのような役割を持っています。世界の様々な言語を象形文字のように使用して構成しています。一応読解できるように作っています。小さい頃はロボットペットとかで遊んでいて、プロフィール画像のロボットもそのうちのひとつです。

小学校高学年〜中学生までプログラミングの教室に通っていました。そこでロボットのシンプルなひとつの動きでも、細かな部品とプログラミングの組み合わせや配置で構成されていると知ったんです。細かなモチーフの配置によるインスタレーションや、展覧会自体をプロジェクトの一部とする思考はプログラミング教室で学んだことが生かされているかもしれないですね。

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あなたはロボット工学が人類一般に対して何か貢献できると思いますか?

ロボット工学が人間に貢献できることはないと思うよ。だって日本の人間自体がロボットに似ているとよく言われるよね。だから私自身もロボットだし。皆同じ情報をアクセスすることができ、性別もなく、感情をあまり表に出しません。私はそのようなロボット的側面を否定的に捉えるのをやめることで、私たちの世代に何か貢献できればと思っています。

それでは、あなたがディレクターを務めるプロジェクト、「獸」についてお話したいと思います。これは、今後7年間に開催する予定の7つの展示会のシリーズです。私にとって、この先の7日間でさえ何をするのか想像できません(笑)!このような野心的なプロジェクトはどのようにして生まれたのですか?また、どうしてこのようなプロジェクトを行おうと思ったのですか?

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「獸」エピソードのメインビジュアル。デザインは八木弊二郎(@heijiroyagi)。

まず最初に、「獸」とは全7章にわたる黒い獣を主人公とした物語であり毎年1度、各章ごとに展覧会とライブイベントをセットで展開してゆくプロジェクトです。

このプロジェクトは2020年のコロナ禍に私の机の上で生まれました。1回目の緊急事態宣言の時、部屋に2ヶ月くらい籠もって自分のアーティストとしてのDNAとは何か振り返っていたんです。その中で、漫画やSF小説、映画が私のDNAであるとに気付いて、手塚治虫の「火の鳥」やフィリップ・K・ディック、スタンリー・キューブリックの作品とかを見直しました。それらに共通するのは物語。最初は物語を展覧会という表現形式を用いて展開出来ないかというチャレンジから発想してゆきました。

なぜ7年間という長期間のプロジェクトになったのか。さっき言ったみたいに私のDNAの半分以上を締めるのは漫画なんです。日本の漫画には読切作品(1話完結)と長期連載というものがあって、美術の展示は基本的に一回きりの読切作品なんですよ。アーティストの人生が一つの長期連載作品みたいなものだと思いますが、。私は展示の長期連載は見たこと無いなと思って、展覧会が連載漫画のように続きながら、繋がって展開していくというアイデアにたどり着きました。

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写真はtaro(@velma960)。

「獸」の各イベントは物語の中の一つの章としての役割りを持っています。それについて教えてください!

「獸」の主人公の黒い獣は、東京の青年である僕の友人をモデルにしています。その獣の人生を7つの章に分けて展開してゆきます。6月の0章では黒い獣が狩人に狙撃されるシーンを表現しました。実は0章は物語の中間地点で、物語の時間軸では1→2→3→0→4→5→6 のように構成されています。スターウォーズみたいなものです笑。

来年は獣の幼少期、1章なので過去に戻ることになりますね。

«A business district full of tall skyscrappers and wide streets. White narrow sky between the buildings and people in clean shirts. Not a trace of rubbish. It’s neither sunny nor cloudy. Neither warm nor cold.

A pitch-black beast’s staring around with its keen eyes in the middle of the street. A hooded, middle-aged hunter is observing silently. He’s watching from a hotel room, far enough away that the beast looks like a tiny black dot.

The hunter slowly raises his gun and sets his sights on the beast. A chill flashed across the beast’s skin. It fled. It ran like a huge moving mass that the stomps were the only noise you can hear.

People on the street looked at you, or it, or him, or them curiously. The scenery is flashing backwards. The hunter looks at the beast quietly with his ocean eyes. It stares back at him.

Its keen met his ocean. There’s a white glow in its eyes. The thunderous roar shakes the ground. The blue gunfire rounds whizzed past the silence like the laser beams, echoes through the buildings.»

JYU by GILLOCHINDOX ☆ GILLOCHINDAE. Chapter 0 -crosswhen-

このプロジェクトでは、デザイナーの八木幣二郎(@heijiroyagi)と緊密に協力しました。どのようなビジョンを共有していますか?

彼はいわゆるデザイナーの枠を飛び出しプロジェクトを共に作り出す大事なパートナーです。このプロジェクトはアーティストと場所は毎年変わってゆきますが、デザイナーは7年間彼が務めます。なので、彼は今後7年間の展開も見越したデザインを制作しています。

この前の展示で言うと銃弾の入った箱やWebデザイン、入り口のカッティングシート、「STATEMENT STONE PLATE」などただデザインするだけではなく、アイデアも彼と一緒に考えています。彼は「獸」にとって重要な人物です。

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どのようにしてこのプロジェクトに参加するアーティストを決めていますか?また何か基準はありますか?

大体Instagramを見て探して、実際に会って決めます。今回は展示アーティストもライブアーティストもほぼ私と同じ年齢だったんですけど、その理由は不完全な人を求めているからです。既に完成して安定している人は出してくる作品も予想できるしつまらないです。不完全だからこそ予想できない作品を出してきたりします。その基準が土台としてあり、物語の各章ごとに全く違ったテーマがあるのでそこに当てはまる人を探しています。常に探してますよ。

このプロジェクトは美術だけでなく音楽の要素もありました。あなたはどのように音楽と繋がっていますか?音楽ライブは「獸」というプロジェクトにとってどのようなものだと考えていますか?

シンプルに音楽がめっちゃ好きです笑。常に聴いてます。周りに音楽やっている友達も多いですね。展覧会はどうしても動きがないというか爆発的な熱というのは生まれないと思ってて、逆にライブは爆発力はあるけど次の日にはみんな普段の生活に戻ってしまうんですよ。同時に行うことで双方の弱点を補い合えればと考えてライブも企画しました。

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写真はtaro(@velma960)。

ライブをすることでアートの展示に来たことないような人が来てくれたり、展覧会自体にも熱が生まれると思うんです。あとは美術と音楽って距離があるなと思ってて、私はどっちも好きなのでその距離を少しでも縮められたらなと思ってます。

このプロジェクトのスタート地点である「獸 (第0章/交叉時点)」は、北千住のBUoYで開催されました。私は個人的にこの場所や東京のこの地域でのイベントに行ったことがありません。この場所で開催したきっかけは何ですか?

行きづらい場所でごめんね笑。場所というよりは空間で選びました。あそこの廃墟感が自分のイメージにピッタリでした。それとみんながあまり使わない場所の方が新鮮さがあると考えたからです。よく使われている場所だと内容が新鮮でも、そうじゃ無くなっちゃうんですよ。

「獸」の他に、Gillochindox☆Gillochindaeにはどのような将来のプロジェクトがありますか?

大きな計画としては2050年くらいまでは考えてあります。その他のアイデアも10個以上は溜まっていて、あとは実行の機会をもらうか自分で作るだけですね。

GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAEのInstagram(@gillochindox_gillochindae)、Twitter(@GILLOCHINDOXGCD)をフォローしてください。

「獸」プロジェクトはInstagram(@jyu_raf_arch._)でフォローし、詳細はウェブサイトをご確認ください。

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